コンサート会場の事務所控室から・・・

コンサート会場の事務所控え室から…(それにしても殺風景な部屋だ。頭、可笑しくなりそう。)

本日は、2016年11月6日(日)
ピアニストK.S.のコンサート会場にいます。今調律が終わり演奏者はホール関係者と打ち合わせ中です。

これまであまり、調律師が現場からリポートする記事は調律師のブログを読んでみてもあまり目にする機会がありませんでしたので、これから、午後3:00までの待機時間、暇潰しでリポートを出来る限り、リアルタイムで書いていこうと思います。

11:19  まだリハーサルは始りません…予定は11:00のはずだったのに。
調律師は、演奏者が最初の音を出してくれるまで、実は気が気ではないのです。心臓ドキドキ…

11:30 まだ始めない…弁当でも買いに行こう。トンカツ弁当なんていいかな。

11:55 此処事務所控え室からステージの様子は伺えないしステージの音も遮音されていて気づかなかった。
気になってソッと舞台の袖から覗いて見ると、リハーサル中である。どうやら私がリハーサルに気付かなかったらしい。
関係者もシャットアウトだ。演奏者がピアノ弾いてるだけだ。
濃紺のウインドブレイカーのフウドを頭から被っている。かなりナイーブな感じだ。

12:15 控え室で食事中、演奏者のマネージャーが来て、「お食事中申し訳ありませんが、お済みになりましたら、音を拾ってみて下さい。」
だって。音って拾う性質のものなのね。

このまま暫く小一時間ほど休憩…

13:30 会場…今迄調整してたんだけどこのスタインウェイ1週間ほど前
別の演奏者がリハーサル中、１弦だけ断線させて、急遽その夜張り替えたばかりの弦で、バレないように念入りにそこばかり叩いて調整してたんだ。勿論その事演奏者には伝えてない。わかるかな～？…わかんねぇだろうな～。

13:40 周りがだいぶニギニギしい…
あと一時間ちょっとだ。早く帰りたい。

13:50 だんだんコンサートに向け雰囲気盛り上がって来た。(私はそうでもないけどね…) 離陸前滑走路の端で管制塔の離陸指示を待ってるパイロットもたぶんこんな気持ちなのだろう…

13:55 開演5分前のブサーがなった。場内静まりかえってる。舞台袖を覗いてみようかな。

14:00 開演…

14:20  舞台袖で演奏聞いている…普段は、自分の調律あまり聞かずに演奏者に確認してもらってから直…リハーサル前に逃げるように立ち去るのだけど…
改めて自分の調律聞いてみると、ショパンで最高音部のユニゾンもキラキラしてないで落ち着いている。オクターブも綺麗だ…

14:45 休憩…
開演後気付いたけど、演奏者リハーサルの時とはまるで別人…

場内ざわついているけど、お客さん女性の方が多い。そうとは聞いてたけどね…

15:00 休憩終わる直前、演奏者が挨拶に来て名刺を渡す。「丁寧に調律して頂いてありがとうございます。」との事。本人ステージに立つ。
マネージャーと挨拶の片々暫し四方山話…

15:10 …ああ、終った。今日はホームランだ～。

15:20…今、車に乗り込んで、次のお客さん宅に向かう。ガクッ。
エンジンスタート。


以上