以前読んでみたいと思っていたのにすっかり忘れていた本を図書館で見つけ、それについて少し書かせていただきます。
日本在住のロシア人ピアニスト、イリーナ・メジェーエワさんの
『ピアノの名曲』
インタビュー鼎談の形式ですので、本人がお話しされているようで読みやすく、とても面白い。ちなみにインタビューされた方のお一人がご主人のようです。
内容は、10人の作曲家についてのエピソードや主観、代表曲の解説です。
バッハ
基本であり、幅広さ、多様、宇宙的であるという『平均律クラヴィ―ア』について読むと、これをやらずしてどうした!といたく反省。
『ゴルトベルグ変奏曲』のお勧め演奏はロザリン・ドュ―レック。知的で説得力がある、示唆に富んだ優れた演奏とのことです。
モーツァルト
こちらもまた音楽の基本中の基本。バッハとともに長く触れることが大切ということです。
モーツァルトが、少し意外な「シンプル」「真実」が大好きな言葉だったということを知りました。
おすすめの演奏録音は、モーツァルトを奏でるためには特別なトーンがあるが、それ持っているホルショフスキーと女性的な温かさとまろやかさが素晴らしいラローチャを挙げています。
ベートーヴェン
練習していて手が痛くなるくらい難しい箇所があり、さらに精神的にも乗り越えなければならない壁もあるそうです。
ベートーヴェンが、神様に向かって、「自分のような者が神聖な音楽に関わるのは申し訳ない。私は至らない。才能がない」
かたや、モーツァルトは「私に天才を与えてくれてありがとう」
この捉え方、面白いですねー。
好きな録音はロシア人にとってベートーヴェンソナタといえば、シュナーベル。本当の技術とはこういうものだそうです。
シューベルト
シューベルトの音楽は歌の要素が強く、ピアノで歌うことを基本にするロシアピアニズムからしてロシア人は大好きな作曲家。なるほど。
『四つの即興曲』作品90番と『ピアノソナタ21番』の解説があります。
シューマン
短い息の中に、いろんな感情を語っている。優しくて子供っぽい面と、人を引っぱって行く大人の面両方を持っているといいます。。
『子供の情景』はロシアでは深い精神性を持っているので、子どもに弾かせるべきではないという意見が強くあるそうです。
ショパンからは次に・・・。